「それで?なにかあったの?」
「……別になんも?」
「…そう?」
真琴に彼氏ができちゃったんだよ。
親友の恋が報われてさ、こんなに嬉しいことってないじゃん。
お祝いだよね、そんなの。
初めての彼氏、私より先に作りやがってって笑ってやりたい。
なのにさあ…、なんで私は何も考えないようにってうどん作ってんだよ。
「……律」
「っ、なんも…っ、ないって…っ」
「うん。じゃあうどん作り、お母さんも手伝っていい?」
「…ダメ。ひとりで作ってんの」
「そっかそっか。なら楽しみに待ってるわね~」
だからそーいうのダメなんだって。
私の扱いを分かりきっている母は、涙を落とす娘を前に、とくにそれ以上を不躾に踏み込んではこなかった。
とりあえず希望ゼロで報われもしない恋に終止符が打たれた。以上。



