「……もうぜったい泣かせないって約束してくれるなら」
「ああ、約束する。…和泉のお兄さんも、本当にすみませんでした」
「いやいや。こいつが勝手にやって泣いてるだけだし全然」
上鷹先輩に腕を引かれた真琴は、振り向きもせず私から離れていく。
“行くな”
ほらね、ここで言えるのなんかドラマの世界だけだよ。
あんな幸せそうな顔見たら言えるわけないだろ。
「…サンドイッチ、食べてやったぞ。……ざまーみろ」
強がりきれない強がり。
うまく笑えそうにもないし、そもそも笑顔ってどーやって作るんだっけ。
行くな、行かないで、戻ってきて。
サンドイッチを食べようが食べまいが、あの2人の仲が深まることは確定演出だったんだ。
私がいるかぎり、どちらにせよこうなった。
「ッ、……ああもう…っ、…なんで……」
「────律、」
初めてそう呼んできた藍さんに背中を向けて、歪む視界のなかで足を進める。
そーだよ真琴。
恋って楽しいことや嬉しいことばかりじゃなんだよ。
私は、私はさ。
いつだってこんなんばっかだよ。
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