私ができる真琴の涙の拭い方なんかこれくらいしかないし、これくらいしかできないんだから。
だって抱きしめたりするの、ダメじゃんか。
私がそれをすると意味が変わってくるからダメでしょ。
「すごかったね!準優勝だって!」
「そこまでいったんなら優勝しろよな」
「でも上鷹先輩は一応は全勝だから、いちばんだよっ」
「まあ確かに個人戦だったらね。良いとこまで行きそう」
試合が終わった頃、真琴には笑顔が戻っていた。
うちの高校は優勝を逃してしまったものの、準優勝という輝かしい結果となり。
「真琴ー、もうあんなことで泣くなよ~」
「うんっ!ありがとりっちゃん!!」
恋って楽しいことや嬉しいことばかりじゃないんだね───決勝戦の最中、真琴がポツリと放った言葉を私は忘れない。
知らない女の子に見えて、どんどん私から離れていってしまいそうで。
そんな私の左手は、反対隣の誰かさんにずっと握られていたことも。



