「もしかして北高?北高はカワイイ子が揃ってるって有名なんだよな~」
「……そこ友達の席なんで空けてもらっていいですか」
「あっ、ごめんごめん。じゃあせめてその友達の名前だけでもお願い!!」
まず教えるメリットがない。
自らライバル増やしてどーすんの。
なんだったらバカ古風な名前でもテキトーに言ってやろうか。
シゲ……、いや、キンだな。
そんなの江戸時代でしか使われてねえだろって名前をあえて言ったら、こいつらどんな反応すんのかな。
「……その子、めちゃくちゃ強い彼氏いるんで。たぶんボコられますよ」
親友として、私はすごく良いことをした。
このあと準決勝が待ってる高校の2年生で、3年に混ざってエースしてる奴だと。
3年生が引退したあとはどーせそいつが次の主将になるんじゃないかって逸材の。
「まじで!やっぱ彼氏持ちなん?」
「…じゃなきゃ観に来ないでしょ、あんなカワイー子が柔道なんか」
「たしかにそーだわ!だったらキミでいーや!!」
「おまえいじめてくれるクールな子好きだもんな~!」
「おいっ!ひとのことドMみたいに言うなよ!」



