「準決勝前にお昼休憩だってさ。私たちも外のコンビニでも行く?」
「…えとっ、そのっ、」
「どーした?」
今日は団体戦らしく。
上鷹先輩のおかげあってか、うちの高校の男子柔道部は準決勝進出だと。
50分間は選手も観客もお昼タイムとなった今、隣には絶賛バッグをぎゅっと抱えて落ち着かない真琴がいる。
「さっ、サンドイッチ作ってきた…!!食べて欲しくてねっ」
「え、うそマジ?ありが───」
「上鷹先輩にっ!!」
ああ……だよな。
今すぐ手にしたペットボトルを頭から自分に降りかけたいくらいには、喰らったメンタル。
ばかすぎる。
なに勘違いしてんの私、ダっサ。
「でもね…、なんか…自信なくて…」
「……渡してきなよ。せっかく作ったんだし」
お菓子づくりが得意な真琴だけど、料理はハッキリ言って微妙。
卵焼きと目玉焼きの違いが本気で分かっていなかったり、醤油とめんつゆの区別の仕方を1時間くらいかけて説明した思い出だってある。
そんな真琴がサンドイッチ。
上鷹のためだけに、サンドイッチ。



