新そよ風に乗って ⑧ 〜慕情〜

いきなり、 寝室のドアをノックする音が聞こえた。
きっと、 高橋さんだ。 でも、 どんな顔をして会えばいいの?
取り敢えず、 ドアの前に立ってドアノブを握った。 案の定、 ドアの前には高橋さんが立っていた。
「もうすぐ、 晩御飯が出来るみたいだから行こう」
私を呼びに来てくれたんだ。
「はい……高橋さん。 あの……」
リビングに戻ろうとした高橋さんの背中に向かって、 呼び止めた。
すると、 高橋さんが振り返った。
「何?」
その声は、 あまりにも冷たい言い方で私を見ていた。
「あの……さっきの話なんですけど……」
「その話は、 あとにしよう」
喋っている途中だった私を、 高橋さんが遮った。
「はい……」
怒ってるの? 高橋さん……。
明良さん達のコテージに行くと、 トマトソースの良い匂いと、 ホワイトソースとチーズに匂いが漂っていた。
晩御飯は、 明良さん特製パスタのペスカトーレとカルボナーラ。 それに、 ランチの残りのサラダなどとても美味しそうだったが、 さっきの事が気になっていて、 あまり喉を通っていってくれなかった。 高橋さんは……というと、 ごく普通にビールを水代わりに飲んで、 いつもと変わらず明良さんをからかっていた。