泣きたかったのは、 高橋さんのはず。 ずっと堪えていたのは、 高橋さんの方。 ミサさんとの過去に縛られて、 お子さんとの板挟みになって……生き死に関わることに、 逃げも隠れもせず毅然と立ち向かった高橋さんは、 強くて……色々な想いを受け止めて……。 それでも垣間見えた、 高橋さんの苦しみと哀しみ。 あの夜、 時計を夜空に翳して泣いていた、 高橋さんの残像が蘇ってきて、 その後の事が走馬灯のように思い出され、 両手で顔を覆った。
堰を切ったように、 泣き出してしまった私を高橋さんが抱きしめ、 耳元で囁いた。
「まだ、 言ってなかったな。 退院、 おめでとう」
もう……もう、 今そんな事……言わないで、 高橋さん。 余計に、 涙が止まらなくなっちゃうじゃない。
「高橋さん……高橋さん……」
泣きながら、 無能にも高橋さんの名前を呼ぶ事しか出来ない。
「フッ……なんだよ? 何度も呼ばなくても、 此処に居るだろ?」
高橋さんが、 私の両腕を持って体を少し引き離した。
「だって……だって、 嬉しいか……ンッ……ンンッ……」
バニヤンの木陰で、 潮の香りに包まれながら高橋さんとキスをしている。 その味は、 まるで海の水のように、 少しだけしょっぱかったけれど……。
潮騒の音を聞きながら、 そこだけが時間が止まってしまったように、 ずっと高橋さんとキスを交わしていた。
堰を切ったように、 泣き出してしまった私を高橋さんが抱きしめ、 耳元で囁いた。
「まだ、 言ってなかったな。 退院、 おめでとう」
もう……もう、 今そんな事……言わないで、 高橋さん。 余計に、 涙が止まらなくなっちゃうじゃない。
「高橋さん……高橋さん……」
泣きながら、 無能にも高橋さんの名前を呼ぶ事しか出来ない。
「フッ……なんだよ? 何度も呼ばなくても、 此処に居るだろ?」
高橋さんが、 私の両腕を持って体を少し引き離した。
「だって……だって、 嬉しいか……ンッ……ンンッ……」
バニヤンの木陰で、 潮の香りに包まれながら高橋さんとキスをしている。 その味は、 まるで海の水のように、 少しだけしょっぱかったけれど……。
潮騒の音を聞きながら、 そこだけが時間が止まってしまったように、 ずっと高橋さんとキスを交わしていた。


