「目的は何?」


なぜあたしに近づくの?


神月仁ともあろう人間があたしに接触する意味がわからない。


「敵に手の内を明かすバカなんてこの世にいねぇよ」


…敵。


じゃああたしを仲間に引き入れようとしてるわけではないってことか。


白虎の敵と言えば思い当たるのは、玖蘭(くらん)か。


玖蘭とはあたしも繋がりがある。


というか、あたしの唯一の仲間は玖蘭の総長だ。


玖蘭潰しにあたしを利用しようってことか。


「まっ、せいぜい頑張れば?あたしは白虎ごときに負けるつもりないけどね」


「ハハッ!」


神月仁の笑い声が静かな裏路地に響く。


目は笑っていないけど。


「軽口たたけるのも今のうちだ」


あたしたちの間を突風が吹き抜ける。


「うわっ痛っ!」


目の中にゴミが入り、思わずぎゅっと目を閉じる。


次に目を開けた時には神月仁は姿を消していた。