あたしがあたしになれる時は不定期だ。


いつその時が来るのかは分からない。


だから街並みを写真的に記憶するのがクセになっている。


「おねーさん、こんな時間に一人でなにしてんの?」


突然背後から腕を掴まれ、咄嗟に回し蹴り。


運良くか悪くか、相手の首元に直撃したらしく、一撃で伸びている。


「あー、ごめんねー。悪気はなかったんだけど。許可なくあたしに近づくから悪いんだよ」


道路の真ん中で気絶されちゃ邪魔だから、端っこの方へ引きずって移動させる。


「ったく、重いなぁ。こんな弱いんならナンパなんかすんなっつーの」


余計な仕事させやがって。


手が汚れちゃったじゃん。


なんとか端に寄せきったところで、どこからともなく拍手が聞こえてきた。