「タバコタバコ…」


ポケット内を探り、箱から一本抜き取って火を点ける。


メビウスの輪が印字された銀色のライター。


あたしの唯一の仲間がくれたものだ。


同じメビウスの輪のネックレスも、常にパーカーのポケットに入れている。


あたしがあたしを取り戻す時には必ずこのシルバーのネックレスを身につけている。


タバコを咥えながらネックレスを付けると、ようやく“あたし”が完成した。


表だったものが裏になり、裏だったものが表になる。


まるであたしたちのようだ。


「とりあえずコンビニ行こっかな」


酒が飲みたい。


この時間帯なら年確されないのはわかってる。


たいして気持ちよくもない夜風が吹く中、あたしは一人で夜道を徘徊する。


街並みは前回の記憶と変わらない。