「俺もいなーい。本当に唯ちゃん兄弟いない?」


「うん。いないよ。そっくりさんにでも出会ったの?」


まるでいるのを確信しているかのような口ぶりに違和感がある。


どうしてこんなことを聞くんだろう。


「そんなところかな。ドッペルゲンガーかもね」


ドッペルゲンガーってたしか、出会っちゃったらどちらかが死ぬんだっけ…。


「神月先輩にも間違えられたし、もしかしたら本当にいるのかも」


会ってみたいなぁ、もうひとりの私。


どんな性格なんだろう。


明るくて、友だちがたくさんいて、キラキラしている人だったらいいなぁ。


「仁がそれ以来唯ちゃんに興味持っちゃってさ。どうにかして会ってやってくんないかな?」


「……嫌だよ」


これ以上学校の人に嫌われたくないし…。


神月先輩のいい噂聞かないし、怖いし…。