傷痕に咲く 〜パティシエ総長と歪な少女〜

不幸面をしているという言葉を否定することはできないのだ。

私にその自覚が少なからずあるから。


「………おい」

「もういい、竜司くん、もういいよ。」


一歩三人に近づいた竜司くんの手を掴んで止める。


「私も悪いんだよ。この人たちは中学で私をいじめていた三人だけど。私が大嫌いな三人だけど。私も同じくらい嫌な奴だから。私だけを守るのはやめてよ。」


竜司くんが振り向く。

その目は心配そうに私を見つめている。

ぐっと胸から何かが迫り上がってくるのを感じた。

泣き出しそうだと気づいて、唇を噛み締める。


「もういい。もうやめて。ありがとう竜司くん。」


そのままバックハグのようにして竜司くんを抱え込んだ。

速水たちは弾けるように逃げ出した。

竜司くんの体から力が抜ける。

それとともに私も手を離した。

すると竜司くんは私の手を引いて、人のいない狭い道に入り込んだ。


「………凛ちゃん。」

「何。」


竜司くんが私に向き直って言った。


「少しだけ、ハグしてもいい?」


私は微笑んで答えた。


「いいよ。」


腕を広げると、竜司くんがそっと被さってきた。

背の高い私でもすっぽりと包まれてしまうくらいに大きい竜司くんの体が触れる。

温かい。

ハグというよりも、抱きしめるという言葉の方が近い気がする。