「色々悪い噂はあるからね。ヤクザの息子で絶対に危ないし。」
呼吸が荒くなる。
冷や汗が背中を伝った。
「浮気性で誰にでもいい顔するし。よく見たらそんなにかっこよくない——」
パン!!!
手のひらに痛みを感じた。
気づいたら、木崎の頬を叩いていた。
「な…は?」
信じられないという顔で固まる木崎は頬を抑えてうずくまった。
速水と朝宮がギロリと私を睨んだ。
「どういうつもり?宮川。」
「またいじめられたいの?」
はぁはぁと短く呼吸を繋ぐ。
ついカッとなって叩いてしまったけれど、こんなにも暴力を振るったことに対して罪悪感を感じないことは無かった。
むしろ胸がすく感覚がした。
「……なにもしらないくせに。」
絞り出した声は驚くほどに冷ややかだった。
竜司くんの何も知らないで、彼女たちは何をほざいているのだろう。
竜司くんの苦悩の断片を知っているからこそ、怒りが湧いて仕方がなかった。
根も葉もない言い分で彼が侮辱されるのがどうしても許せなかった。
「本当に変わらないね、その性根。」
こんなにも挑発するような言葉が自分の口から飛び出るとは思わなかった。
一瞬の間の後、パンと私の頬が鳴った。
「お前、あんまり調子に乗るなよ。」
鋭い痛みが走ったが、三人から顔を逸らすことはしなかった。
強い怒りが私を支配していた。
