「あ、そうそう、白虎高といえば、双竜会の総長が転校したところだったね。」
速水がくつくつと笑いながら言った。
サッと血の気が引いた。
そういえば、前に竜司くんが言っていた。
やたら馴れ馴れしい三人組がいるって。
考えたこともなかった。
竜司くんが転校していなくなってしまって、彼女らは一体どうしたのだろう。
「あー御神楽先輩ね。」
朝宮が顎に人差し指を当てて言う。
「宮川は知ってる?御神楽竜司っていう、ここら辺の地域の暴走族のトップ!」
知ってるも何も、私は彼の店でバイトをしているのですが…。
なんて間違っても言うわけにはいかないから、私は押し黙った。
さっさと解放してくれないだろうか。
私の膝が意思に反して震えるのが酷く癪に触る。
強気な心とは裏腹に、体は三人へのトラウマで怯え切っていた。
「結局『姫』にはなれなかったねー。」
木崎がつまらなそうに言う。
「ね。いいところまでは行ったんだけど。」
「……いいところ?」
余計なことだと分かっていたが、思わず口を挟んでしまった。
速水がニヤリと笑う。
「宮川も気になる?」
やらかしたと思った。
黙って、存在を消して、いいタイミングで逃げ出せばよかったのに。
竜司くんの話が出たからって思わず口を挟んでしまうだなんて、なんて馬鹿なのだろう。
知らんふりをするのが絶対に正解なことは頭では分かっていたのに。
