逃げようと判断した。
その判断に至るまで、たったの数秒。
しかし彼らは私よりも0.1秒、判断が早かった。
「宮川。」
びくりと体が震えた。
「久しぶりじゃん、元気してた?」
半笑いで話しかけてくる長い髪の少女は速水千尋。
いじめの主犯格。
中学の頃は黒髪だったけれど、金髪に変わっている。
「………帰ります。」
相手にしたら終わりだと思い、踵を返す。
「ちょっと、待ちなよ。」
私のバッグを掴んで止めたボブの少女は 木崎菜花。
長かった髪は肩の辺りで切り揃えられている。
「へえ、宮川、白虎高なんだ。頭いいんだね。」
人を馬鹿にしたような話し方をするこの身長の低い愛らしい外見の少女は 朝宮花梨。
憎らしい。
三人全員、今すぐ殺してやりたいほどに憎らしい。
大嫌いだ。
私の人生を壊した第二の敵は、こいつらだ。
私の中学生活を台無しにした、最悪の三人組だ。
私が施設にいることを知るやいなや、散々馬鹿にして、暴力も厭わず徹底的に私をいじめた。
今でも飲まされたトイレの水の味を覚えている。
殴られた痛みも、物を壊される苦しみも、全てが生々しく心と体に刻まれている。
どんなに抵抗しても絶対にやめなかった。
すでにボロボロだった私を、死にまで追いやった三人組だ。
