竜司くんを好きか嫌いかで言えば、間違いなく好きであろう。
ただ、それ以上先に進めなかった。
そもそも考えすぎなのだ。
竜司くんの「好き」がどの感情にあたるのかもはっきりさせないまま、くよくよと悩み続けている。
阿呆らしい。
「ねえ竜司くん。」
そっと呟いてみる。
竜司くんが首を傾げてこちらを見た。
その真っ直ぐで綺麗な瞳に射抜かれて、また胸が苦しくなった。
「愛って、なんだろう。」
俯いて、ぼそっと言う。
言ってしまって、ハッとした。
「ごめ、変なこと訊いた、気にしないで!」
あわあわと訂正するが、竜司くんは私を笑う素振りもなく、すっと真顔になって考え込んだ。
「愛…ね…」
横顔が恐ろしいほどに美しい。
この横顔に惚れた人が何人いるのだろう。
私は…一体彼に対してどのような感情を抱いているのだろうか。
「俺は…家が御神楽、つまり裏社会のボスの家に生まれたからさ、あんまり愛されるって経験をしたことがないんだよな。」
ちょっと寂しそうに微笑んだ。
「……同じだ。」
私の生まれは一般家庭だけど、たまたま運が悪くて愛を受け取れなかった。
「だからさ、俺も愛がなんなのかは理解している自信がないんだ。ただ…」
竜司くんがふっと微笑んだ。
「月並みの答えで申し訳ないんだけど、心の底から制御できないような温かい感情が溢れてくることがある。」
ギリギリと、また心臓が傷んだ。
「それは苦しいかもしれないけれど、それでも、苦しくていいからその感情を持ち続けたい、そう思ったらそれが愛なんじゃないかな。」
