傷痕に咲く 〜パティシエ総長と歪な少女〜


十二月に入った。

木の葉はすっかり落ちてしまい、コートを羽織らなくては耐えられないほど寒い日が増えてきた。

日はさらに短くなり、朝、暗い中起きるのが辛い。

あさがお園から出ると、息が白くなった。


「凛ちゃん。」


声をかけられて、振り向くといつものように竜司くんがいた。


「わざわざ毎日ありがとう。」


そう言って微笑む。

竜司くんは最近様子がおかしい。

いや、おかしいのは竜司くんだけではない。

私が学校に行けなかった数週間を境に私たちの関係は少しおかしくなってしまった。

竜司くんとは表向きは前と変わらず付き合えている。

ただ、明らかに竜司くんはおかしい。

冷たいとかよそよそしいとかそういうことではない。

むしろ逆である。

恐ろしいほどに過保護なのだ。

どこに行くにも大抵一緒だ。

私はバイトに復帰したけれど、その距離の近さゆえにどうにも居た堪れなかった。

朝はこうやって待ち伏せされるようになったし。

私の心臓は彼を見るたびに鈍い音を立てた。

竜司くん特有の適切な距離感が酷く曖昧になってしまっていて、非常に居心地が悪かった。


「わざわざ私に構わなくて良いんだよ。」


そう言うと、必ず竜司くんは複雑な表情を浮かべる。

初めてこの表情を浮かべたのは、そう、ちょうど私が学校に復帰した頃だろうか。