「竜司さん、あいつ大丈夫じゃないよ。」
瑠衣は竜司さんのシャツを両手で掴んだ。
「竜司さんには言ってなかったけどね、俺、ツナちゃんが引きこもってた時会ってきたんだ。」
竜司の表情が流石に崩れた。
「は?」
「園に行ったついでだよ、やましいことは何もないさ。」
竜司はいつのまにか掴んでいた瑠衣の胸ぐらを、驚いたように離した。
自分の行動が自分で理解できていないようだった。
「ツナちゃん、ひどい状態だったよ。」
「……俺の連絡もことごとく無視するから無事だとは思っていなかったが…」
「そんなもんじゃない。あいつは自分を追い詰めすぎだ。」
瑠衣は竜司のシャツを掴んだまま続ける。
「なあ竜司さん、あんたツナちゃんに告ったの?」
竜司のポーカーフェイスは完全に崩れてしまった。
明らかに驚いた顔で目を泳がせる。
瑠衣は凛が語ったことが事実だったと確信した。
「ツナちゃんはあんたのせいで苦しんでる。」
「なっ…」
「ツナちゃんの気持ちも考えないでなんてことしたんだあんたは。」
その時、二人の間のピリピリとした空気を、チャイムが切り裂いた。
瑠衣ははっとして竜司から離れる。
「ごめん竜司さん、熱くなりすぎた。」
瑠衣自身も驚いていた。
自分がこんなにも宮川凛を気にかけるようになるとは思わなかった。
いけ好かない奴だと思っていた。
事実、気は合わない。
ちょっと境遇が似ているだけで、性格も考え方も何もかもが違う。
ただ、それでも情は湧くものだ。
