傷痕に咲く 〜パティシエ総長と歪な少女〜



「みんなおはよー。」


宮川凛。

あの人見知りで引っ込み思案な凛だ。

満面の笑みを浮かべた彼女は、驚きと困惑に支配されたクラスメイトを気にもせず、ずかずかと教室に入り込んだ。


「おはよう。」


談笑していた女子たちの横を通り抜ける時、彼女は手を振って彼女たちに挨拶した。


「お、おはよ…?」 

「お、はよ…」


脳内の疑問符が消えないまま、彼女たちはそれに答えた。

いつものように蓮と裕子のところへ向かう凛を見て、クラスの緊張が少しずつ和らいだ。

ぽつりぽつりと会話が始まり、クラスは元の喧騒へと戻っていった。

しかしその中には数人、凛から目が離せなくなった者もいた。

普段の凛が今日の凛のように笑顔で大きな声で挨拶をするなんてことはまずあり得ない。

凛の急激な変化に、何か不穏な予感を感じる者も多かった。


蓮、裕子、瑠衣もそのうちの一人だった。


「凛…?」

「あ、蓮、久しぶり〜。ちょっと体調が悪くてさ。メッセージとかも見れなくてごめんね!」

「凛、大丈夫…?」

「あ、ゆっこもありがとね。全回復したから大丈夫だよ。」


弾むように話す凛に、蓮も裕子も次の言葉が出なかった。

ただ呆気にとられて凛を見つめ、しかし凛は次々と話題を変えてころころと笑う。

テンションが高いだけでは済まされないような変化だ。