傷痕に咲く 〜パティシエ総長と歪な少女〜

白虎高校の一年生のとある教室、賑やかな休み時間、教室の隅で数人の女子が屯していた。


「最近宮川さん来ないよね。」

「それな。私も気になってた。」


会話は何かの拍子に凛のことになった。


「風邪かな?」

「うーん、どうだろう。」


一人がちらりと蓮と裕子を見た。

あの二人は凛と仲がいいということは周知の事実だった。


「宮川さん、最初はすごく怖かったのに、ちょっと雰囲気柔らかくなったよね。」


一人が呟くと、周りの数人が頷いて同意した。


「なんか、氷みたいに冷たかった。」

「でもだんだん笑顔も増えてきて柔らかくなったよね。」

「今なら話しかけても答えてくれるし。」

「あとなんか可愛くなった?」

「わかる。前は冷徹美人って感じでそれはそれで良かったけど、態度が柔らかいに越したことはないよねぇ。」


うんうん、と全員が納得し、場の意見が相違ないと分かったその時だった。


「おはよう!」


ガラガラとスライド式の教室のドアが明け放たれ、話題の主が現れた。

クラスが水を打ったように静まり返った。

先程まで談笑していた女子たちも、目を点にして固まっている。


「り………ん……?」


最初に声を絞り出したのは、教室の対角にいた蓮だった。

彼女は誰よりも仰天した顔で口をパクパクと動かしていた。