傷痕に咲く 〜パティシエ総長と歪な少女〜


いつの間にか母親の攻撃は終わっていた。

そっと顔を上げると、母は息を切らしながら涙を流していた。


「私は…この先の人生、どうやって生きればいいの…」


さめざめと泣く母親から、地面を這うように少しずつ遠ざかる。

ある程度離れて立ち上がっても、母がこちらに来る気配は無かった。


「あんたのせいで、私の人生はめちゃくちゃよ。」


恨めしそうにこちらを睨む母。


「金もない、愛もない、喜びもない。私はどうすればいい?」


ひどく母の背が縮んだように見えた。

少しだけ、哀れだと思った。

私が生まれなければ、この人の人生は違ったのだろうか。

毛嫌いする私がいなければ、この人は幸せだったのだろうか。

いいや。

首を振る。

私には関係ない。

やっと手に入れた私の人生、この人に押しつぶされたまま生きるなんて御免だ。


「さようなら。」


そう呟いて踵を返す。

この先がどんなに真っ暗な人生でも、私はこの人生を歩むだろう。

私が本当に死にたいと思うその時まで。

いつか両親のことを理解できる日が来るのだろうか。

豊かな感情を取り戻せる日が来るのだろうか。

それまで、私はもがき続けることができるのだろうか。

私の命は、道半ばで絶えてしまわないだろうか。


それが保証できないのが、苦しい。

息の仕方が分からない。