傷痕に咲く 〜パティシエ総長と歪な少女〜


蓮がジャングルジムから落ちた。

ゆっこが相撲大会で無双した。

壮助がカザミに尻を噛まれた。

竜司くんがケーキ屋で人手が足りなくて嘆いている。

慎吾が数学で赤点を取って会計係のプライドに傷がついた。

くだらない話をつらつらと聞く。

くだらない、くだらないこと極まりないが、そんな日常が尊かった。


「蓮も裕子も……すごくツナちゃんのこと心配してたぞ。」


瑠衣が静かに呟く。


「何よりも竜司さんの落ち込み具合は酷い。」


瑠衣が椅子を立って、ベッドに、私の隣に腰掛けた。


「俺が凛ちゃんを傷つけた、ってずっと自分を責めてる。慎吾がその度に励ましているんだ。」


鼓動が嫌な音を立てた。


「なあ。ツナちゃん。みんなお前のことが心配なんだよ。」


顔を覗き込まれる。

濁りのない瑠衣の瞳に、私の涙腺が限界を迎えた。

声もなく、ボロボロと涙が鼻を伝って落ちた。


「…っ」


声にならない声でしゃくりあげる。

泣きたいわけじゃないのに、涙が止まらなかった。

友達の温かさに触れて、心がズキズキと痛んだ。


「ツナちゃん…」

「私なんかのために…みんな…心配して……私は…」


自分に存在価値を見出せないから。

みんなが私の心配をしているのが申し訳なかった。

瑠衣がわざわざここまで足を運んで、私を慰めて、酷い労力だ。