傷痕に咲く 〜パティシエ総長と歪な少女〜



「はぁぁぁぁ…」


何度目か分からないため息をつく。

毛布にくるまり、右手で左腕を撫でた。

ぼこぼことした感触が伝わってくる。

傷痕だ。


————いっそ、もう一度切ってしまおうか。


心がもやもやした時、どうしようもなく苦しい時、自分を傷つけることで気持ちのやり場を作っていた。

破裂寸前の心に対する応急処置だ。


「はぁ、何を馬鹿なこと…」


一人で呟く。

もう切らない、二度と切らない、自分を大事にする。

約束した。

過去のことは気にせず前に進むと決めたはずだ。


寝返りを打ち、仰向けになる。

左腕を天井に向けて伸ばした。

露わになった素肌には、醜くて汚い大きな傷痕が無数にある。

まるで縫い合わされたように—いや実際に数本は縫っているのだが—見た目はあたかもゾンビのようだった。

弱い私がつけた傷痕。

私にとっては自分の弱さの象徴、一番の恥だ。


「みんな、これを見たら幻滅するかな。」


幻滅されたところでなんだ。

前の生活に戻るだけなのに。

しかし、それを想像すると胸がぎゅっと苦しくなった。

知らず知らずのうちに大好きになっていたのだ。

竜司くんも例外じゃない。

そこまで分かっているのに、私は自分の気持ちに整理がつけられなかった。