傷痕に咲く 〜パティシエ総長と歪な少女〜

しゃがみ込んだ竜司先輩に手を貸すと、その手を握りしめてきた。

そして真面目な口調で語り始める。


「俺はさ、その…好きな人…がいるからさ、たとえお前が俺のこと好きでも応えられないんだ。」

「え、だから僕は…」

「『たとえ』だっつってんだろ。とにかく俺はお前らを適当に扱いたくないからさ。しっかり言わせてくれよ。」

「……」

「ほんと、慎吾には感謝してる。お前は双竜会の大切な幹部だし、何よりも俺の友人だ。恋愛感情じゃなくてもお前が大事なのには変わりない。」


顔に熱が集まる。

これだからこの人は…

天性の人たらしだ。自覚はないだろうけど。

僕はこの人のこういうところが大好きだ。


「ふ、ふん……これからみょ着いていきましゅよ…」


動揺したせいで大事なところですごくダサい噛み方をしてしまった。


「めちゃくちゃ噛んでんじゃねーか」


弾けるように笑う竜司先輩。

ああ、僕はこの人の部下で、友人で、幸せだなと思った。