傷痕に咲く 〜パティシエ総長と歪な少女〜



「なん、おま、はぁ???」


真っ赤な顔で掴みかかってくる竜司先輩をどうどう、と鎮める。


「僕は構わないですけどね」


竜司先輩の襟元を掴んで引っ張ると、顔と顔が触れるほど近づいた。


「あれ、言っていませんでしたっけ。僕バイセクシャルなんですよ。」

「……知らなかった」

「普通に男性とも付き合いたいと思いますからね、僕は。」


しどろもどろになる竜司先輩。

ここで茶化さないあたり、本当に優しい人なのだ。


「で、どうします?僕と付き合いますか?」


詰め寄ると、竜司先輩の瞳は可哀想なくらい揺らいだ。

面白くて吹き出しそうになるが、前世の徳で押さえ込む。


「いや…お前には悪いけど…俺はお前を恋愛対象として見たことはなくて」


真っ赤になりながらも真面目に返答した竜司先輩に、とうとう堪えきれなくなって笑い出してしまった。

ひとしきり笑い転げ、ぽかんとした表情の竜司先輩に告げる。


「嘘ですよ。別に僕はあなたと付き合いたいだなんて思っていません。」

「………は?」

「僕が両性愛者なのは本当ですけどね」

「おま、おま、ほんと、マジ…」

「尊敬しています、総長のこと」


はーっと大きなため息をついて竜司先輩はしゃがみ込んでしまった。


「ほんと、笑えない冗談はやめてくれよ…。慎吾お前たまに度を越したこと言うよな…」

「……そうですかね」