傷痕に咲く 〜パティシエ総長と歪な少女〜


こんにちは、僕は慎吾。朝霧慎吾。

双竜会の金銭管理を行なっている幹部です。

今何をしているかって?

しっ、尾行中ですよ。静かにしてください。

裕子さんを送ったあと、こっそり竜司先輩のあとを着けていたのは秘密です。

動機はただの好奇心ですよ。

僕は思うんです。

竜司先輩と凛さん、めちゃくちゃいい雰囲気じゃないですか!?

僕の読みでは、完全に両思い。

近いうちに竜司先輩が想いを伝えると予想。

ふふふ、このインテリ慎吾の読みはいつなんどきも外れたことなど無いのです。

僕は彼が告白する瞬間を見たい!

きっと、非常に「キュン!」です。


………と、思いきや。


(竜司先輩、振られてる!?)


思わず口をついて言葉が出てしまい、慌てて手で口を覆った。

凛さんに突き放される竜司先輩を目撃してしまって、びっくりするほどフラストレーション!!

走り去る凛さん、立ち尽くす竜司先輩。

あかーん!

電柱の影から見守ってあわあわあわ。

ああまずい、竜司先輩がこちらへ歩いてくる。

僕の姿を隠すのは電柱一本。

やり過ごせるか?

呼吸を殺して、微動だにせず、静かに心のなかで数を数える。

いち、に、さん……

あ、ついでに目を瞑っておくか。

なんとなく目を瞑っていると相手から見られていない気がする。


「お前、ほんっとーに尾行下手くそだな。」


いや、そうですよねー。ははは。

竜司先輩は呆れ顔で電柱の影にしゃがむ僕を見下ろしていた。