みんなと解散した後、竜司くんに店までバイクを飛ばしてもらい、私は家の近所まで戻ってきた。
そこからは徒歩で静かな夜道を二人で歩いた。
「ねぇ、羅刹って、何?」
疑問に思っていたことを尋ねると、竜司くんは少し微笑んで答えてくれた。
「そうだな、まずは前提から説明しようか。」
竜司くんが語ってくれたのは概ねこのような内容だった。
双竜会のようなグループは他にもたくさんある。
目的や活動内容はまちまちだが、それぞれがそれぞれの縄張りを持っている。
双竜会の隣には羅刹という名のグループがあり、規模は双竜会よりも大きい。
小さな争いはあっても全面的な抗争は無く、睨み合っているだけだそう。
羅刹の総長は神谷。私が会ったあのニコニコした愛想のいい男だ。
歳は竜司くんのひとつ上。
圧倒的なカリスマ性で隣の地域を牛耳っている。
「神谷はわかっているんだよ。羅刹と双竜会がやり合ったら双竜会に勝ち目はまず無い。それくらい規模の差が大きいんだ。」
「……そうなんだ。」
驚いた。
この地域での竜司くんのもてはやされ様には双竜会は無敵なのだという雰囲気さえ感じられるが、双竜会でさえ敵わないグループがあるんだ。
「神谷は今日、謝罪しているように見えたけど、実際に恩を売っていたのはあっちなんだ。」
「……なるほど。つまり、『お前らとはやり合わないであげるから感謝しろよ』って意味だったんだ。」
「そういうこと。」
神谷が異様に余裕ぶっていた理由が分かった。
彼は実際に余裕だったのだ。
「あの場で決定権があったのは神谷だけなんだよ。」
竜司くんは肩をすくめて笑った。
