傷痕に咲く 〜パティシエ総長と歪な少女〜



「嫌だ…お願い…助けて、りゅ…じ…くん…」


無意識に竜司くんの名を読んでしまう。

その時視界の端でゆっこがのそっと動くのが感じられた。


「やめなさいよあんたたち!凛は双竜会の姫だ!」


聞いたことのないゆっこの大声。

途端にびたりと止まる男たちの手。


「はぁ?双竜会ってあの御神楽んとこ?」

「ふざけたこと言ってんじゃねえよ、あの孤高の御神楽があり得ねえ。」

「適当なこと言って気をそらせるとでも思ったからクソ女」


そしてドッと起こる笑い声。

何人かはゆっこを蹴飛ばした。

ゆっこが痛みに呻くのを聞いて、私は朦朧としていた意識を取り戻した。


「うるさい!!私は…私は!」


呼吸が荒くなる。

竜司くんに迷惑をかけると分かっていた。

でも、竜司くんならきっと助けてくれる。

そんな根拠のない希望に縋って私は叫んだ。



——私は、双竜会の姫だ!!!!!!!——



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