傷痕に咲く 〜パティシエ総長と歪な少女〜

でもここでこの男を挑発して良いことなんて何もない。

私のことなんてどうでも良い、今はゆっこに危害を加えられないことを第一に考えなくてはいけない。

ぐっと唇を噛み締めた。


「おい、女ァ、よくもうちのもんを病院送りにしてくれたなあ。一人は骨が飛び出してやがったぜ。」


ひゅっと喉の奥が締まる。

複雑骨折…?私、そんなに強く傷つけたっけ。

心当たりがなくて心臓が早鐘を打つ。


「ってのはまァ嘘なんだけどさ!」


そう言ってガハガハと笑う男。

悪趣味だ。反吐が出る。


「まあ病院送りになったのは本当だけどな。……てめえ、一旦謝りやがれ。」


今度は私の胸ぐらを掴んで揺さぶる。

抵抗できずに顎がガクガクして痛かった。


「ごめんなさい。」


はっきりと謝罪の言葉を言った。誠意なんて微塵も無いけれど、今はできるだけ挑発をしないように、誰かの助けが来るまで待たなくてはいけない。


「ひゃっはー!こいつ謝ったぜ?おいお前ら好きにしろ」


その言葉が終わるか終わらないかのうちに頬に強い衝撃が加わった。


「いったい…!」


反射的に涙が飛び出た。

次々に立ち上がった男たちが我先にと私を攻撃する。

私はその衝撃に耐え続けた。ゆっこを危険に晒してはいけない。どこにいるのかわからない蓮にも危害が及んでしまってもいけない。

歯を食いしばって必死に暴行に耐えた。