傷痕に咲く 〜パティシエ総長と歪な少女〜



「あぁ、もう、私知らないから!」


諦めた私は仕方なく竜司くんの後を追ったのだった。




しばらくして、子犬たちの診察が終わったが、結果を簡潔に言うと極度の栄養失調と脱水症状だった。

そして、残念ながら1匹はすでに事切れていて生きていたのは4匹だった。

その4匹も弱り切っていて、いつ死んでしまってもおかしくない状況だ。

とりあえずその4匹は病院に預け、回復後竜司くんが引き取ることになった。



「4匹もどうやって飼うの?」



夕日の中の帰り道で私は竜司くんに尋ねた。



「双竜会で飼うよ。カザミもいるし、大丈夫だと思う。」

「あー…カザミね…」



聡明で可愛らしいホワイトシェパード。

犬には詳しくないけれど、カザミは突然現れた4匹を受け入れられるのだろうか。

まあ、賢いカザミのことだ。大抵のことは杞憂で終わりそうな予感はする。



「名前…考えなきゃね。」



そう呟くと、隣で竜司くんが微笑んだのが感じられた。

犬、好きなのかな?

正直捨て犬を5匹も拾うなんて、彼がそんな慈善的な行動をする人だと思っていなかったから驚いた。

そっと横目で彼を見ると、いつもと変わらない穏やかだけど強い表情をしていて尚更真意が分からなかった。

否、真意なんてないのかもしれない。

ただただお人好し…というかお犬好しなのかもしれない。

竜司くんの優しだ、ということで割り切り、私はこの件についての思考を放棄した。