「あれ?捨て犬…」
10月になり、いい加減残暑も落ち着いてきた秋の初め、私は下校途中に公園で段ボールに入った犬を見つけた。
「ほう…柴が5匹…と。」
後ろにいた竜司くんも私の頭の上から段ボールを覗き込んだ。
まだ手のひらに乗りそうな小さな子犬たちだ。
痩せ細って、折り重なるようにして横たわっている。
生きているのか、死んでいるのかさえわからない。
ぴくりとも動かなかった。
よく見ると、カラスにでも突かれたのだろうか、抉られたような傷が体にあり、段ボールの内側の側面に血液が付着していた。
「なんで捨てるんだろう、可哀想に…。これ、保健所とかに連絡したほうがいいのかな?」
可哀想だが、私たちではどうすることもできない。
そう思って竜司くんを見上げようとすると、彼は突然私の隣にしゃがみ込んで子犬たちに触った。
「え?何して…。」
「…………まだ生きている。小さな命が五つ、生きようとしている。」
竜司くんが1匹の黒い子犬を撫でると、その子犬は目を薄く開け、震えて掠れた小さな鳴き声をあげた。
「よし、凛ちゃん、こいつら病院に連れていくぞ。」
「あ、え、えぇ!?本気で言ってる?」
「あぁ、本気だよ。俺が飼う。」
「冗談じゃないよ、どうやって!?」
「なんとかするさ。」
そう言いながらも竜司くんはさっさと箱を持ち上げ、走っていってしまう。
