ああっ!
私のエクレアが食べられてる!!
エクレアは私のって言っておいたのに……。
ひどすぎる!
犯人をとっちめてやる!
容疑者は3人。
私よりも早く帰宅していた父、母、弟。
「お母さん、私のエクレア食べた?」
「食べてないわよ。私はまだ箱も開けてないのよ。白いクリームのシュークリームがあったら、取っておいて頂戴」
んん……、この反応だと違うみたい……。
「健、私のエクレア食べた?」
「チョコのやつ食べただけだよ。姉貴は抹茶のだろ?」
ということは、健ではなさそう……。
「お父さん、私のエクレア食べた?」
「抹茶のシュークリームを食べたぞ」
えっ……?
じゃあ、誰も私の抹茶のエクレアを食べてない……?
ええ?
そんなわけない。
昨日はあった抹茶のエクレアが消えてるのは事実だもん。
お母さんはまだ箱を開けて中を見ていない。
だとすると、健かお父さんのどっちかが嘘をついてる!
「健! 怒んないから、ホントのこと言って!」
「もう怒ってんじゃん」
「私のエクレア食べたんでしょ?」
「ちげーし。エクレアごときでなんでそんなにムキになってんの?
他のでいいじゃん」
「口がもう抹茶味の口になってんの!」
うーん、でもこの反応だと、健じゃない感じ……。
「お父さん、抹茶のエクレア、ホントに食べてない?」
「だから抹茶のシュークリームは食べたぞ」
……うーん……。
健もお父さんも嘘ついてないみたい。
でも、だとしたら、なんで私の抹茶のエクレアが消えてるの?
泥棒が入って、たまたま抹茶のエクレアだけ食べてったの?
んなわけないでしょ!
謎が解けないまま夕飯になった。
食後、デザートを食べようということになり、シュークリームとエクレアの入っている箱を開けた。
「ほら葵、どれにする?」
うー、どれと言われても、抹茶の気分だったのにな〜。
その時、お父さんが箱を覗いていった。
「俺はそのチョコの長いシュークリーム」
「あ、これね」
お母さんがチョコのエクレアを取って、お父さんに渡した。
……ん?
ちょっと待って?
「お父さん、今なんつった?」
「チョコか? チョコならそこに丸いのもあるぞ」
……おやじっ!!
あんたかっ……!!
長いシュークリームをエクレアっていうんだよ!