私はもう一度、頷く。
パパに叩かれるのを覚悟で。
だけど、パパは私を怒る事はなく。
ただ。チャペルは静まり返っていて。
チャペルの静寂はパパによって破られた。
「姫乃………お前はいつも心配かけてばかりで。
そそっかしい上に猪突猛進。人に流されやすい。
これだから、今まで口うるさく言ってきたんだ。
もう、16才だ。自分の事は自分で決めたらいい。
だけどな…………?
今、姫乃が自分で決めようとしている事にはパパは賛成できない。彼は……
凶悪な犯罪者だ。」
パパは泣いていた。
上を見上げると何色ものアンティークステンドグラスが煌めいていて。
綺麗で…………
私も泣けてきた。
涙が出てきたのは
それだけじゃないと思う━━━
「パパ……初めて好きになった男の人だよ?」
「…ああ。分かってる。また、違う人を好きになったらいい。」
「きっと…ハルが私の運命の人………」
私は、丸いペンダントを顔の前で力強く握りしめた。
目を瞑って。
目を開けると………
丸い形のペンダントが目に映る━━━
「………三日月…」
私はバタッと崩れるように床に座り込んだ。
丸い形のペンダントには、三日月の形に象られていた。
「…パパ……運命の人だったよ?」


