「姫乃です…。」

小さめの声で答える私。



暫くして、
青に変わる信号━━━



「姫乃ちゃんか。可愛い名前だね。」

そう言いながら、アクセルを踏むあなた。

ゆっくり走り出す車。


「…あなたの名前は?」



「俺の名前…知りたい?」

私はコクリと頷く。




「教えてあげない♪」

私をからかうように
ほんの少し笑みを浮かべた。


「じゃぁ、いいです…。」

自分の眉間に少ししわが出来たのが分かった。


「冗談だよ。そんな怖い顔するなって。
…名前はハルだから。ハルって呼んで?」

この言葉で
私の表情がだんだんと柔らかくなっていく━━━


「ハルって名前なんだ。…へぇ。…プッ」


「何がおかしい?」

ハルはちらっと私を見てから、優しく微笑んで。
私の頭に優しくゲンコツをした。



あなたの名前が分かって
とても嬉しくなった━━━