マスターの指示に従って、うつぶせでベッドに横たわる。
サーヤ姫はもう、隣のベッドで眠っている。
健斗君が「頑張れ」って言ってくれた。
「頑張るのはわたしじゃないよ。わたしはただ寝てるだけ。マスターとサーヤ姫ががんばるんだから」
そうは言ったものの、やっぱり怖い。
このまま目覚めなかったら、わたしはどうなるのかな?
健斗君は、宿り主が死んじゃったらどうなっちゃうの?
ガチガチに緊張しているわたしを見て、健斗君が笑った。
「無事に目が覚めて元の世界に戻れたらさ、またあのラーメン屋に行こうな。ネギみそチャーシューとギョウザ、それに半チャーハン、おごってやるから」
よく覚えてるなあ、全く!
笑いながら、ちょっとだけ目の奥がツン、とした。
がさつでも、大食いでも、可愛い性格じゃなくても。
わたしはわたしのままで、この人に受け入れてもらえる。
また泣きそうになるのをぐっとこらえて、笑顔で健斗君に伝える。
「うん。それにプラス、マヨチャーシューおにぎり、テイクアウトね!」
「オレも同じもの、注文するぞ。早くちゃんと飯食わないと、マジで腹減ってるんだ。もちろん、飯の前に大事なこと......」
健斗君の声が、遠くなっていく。
最後まで話を聞きたかったのに、わたしの意思とは関係なく、眠ってしまった。


