「わたしも、サーヤ姫のおかげで、幸せを見つけられるかも知れないの。でも、わたしの幸せはまだ確定ではないんだ。無事に元の世界へ戻らないとわからないから。だから、絶対に成功させようね!」
「そうと決まったら、すぐ移植しなくては。マスター、ベッドの準備をお願いできますか?」
健斗君がマスターとメイドさん達にあれこれ指示を出している。
すぐに、病室へもう一台、ベッドが運ばれた。
これは、ドナーとなるわたしのためのベッド。
いよいよ、移植が始まるんだ。
マスターは『簡単だ』って言っていたけれど、一体どうやってやるのかは謎。
びびりなわたしは、詳しく聞かない方がいいと思った。
だってわたしは、今まで入院すらしたことがない健康体だもん。
今になって、やっと気づいた。
わたしって、そのことだけでも、幸せだったんだ。
どこも痛くない、苦しくないことが、とても幸せだってこと。
当たり前すぎて気が付かなかっただけで、こんなに大事な幸せを見逃していたんだ。


