異世界巫女修行はじめました~理不尽な現世を飛び出して優秀な呪術師と一緒に異世界で人助けをします~


 わたしが何も言えずにいると。

「沙也さん、私、どうしてもあなたの『コツズイ』が必要なのです。私が元気になれるように、分けていただけますか?」

 あれ? 骨髄移植で本当にいいの? 

 疑問に思いながらも、私は大きくうなずいて答えた。

「もちろん、わたしはサーヤ姫を元気にするために来たんだから」

 そう言ったわたしを見てから、サーヤ姫はまた、マスターと見つめ合い、うなずいた。

「良かった。......あなたに会えて、私は本当に幸せです。あなたのおかげで、私は本当の幸せを見つけられたのですから......」

 ほっとした。

 別れ話じゃなかったみたい。

 そういえばさっき、マスターは『サーヤさえ元気になってくれたら、他には何もいらない』って、言ってたっけ。


 きっと、マスターのサーヤ姫に対する気持ちを確認して、二人でより良い結論を出せたに違いない。

 多分、サーヤ姫のはうれし涙だったんだね。

 わたしだって悲しくて泣いてたはずなのに、いつの間にか......?