わたしが何も言えずにいると。
「沙也さん、私、どうしてもあなたの『コツズイ』が必要なのです。私が元気になれるように、分けていただけますか?」
あれ? 骨髄移植で本当にいいの?
疑問に思いながらも、私は大きくうなずいて答えた。
「もちろん、わたしはサーヤ姫を元気にするために来たんだから」
そう言ったわたしを見てから、サーヤ姫はまた、マスターと見つめ合い、うなずいた。
「良かった。......あなたに会えて、私は本当に幸せです。あなたのおかげで、私は本当の幸せを見つけられたのですから......」
ほっとした。
別れ話じゃなかったみたい。
そういえばさっき、マスターは『サーヤさえ元気になってくれたら、他には何もいらない』って、言ってたっけ。
きっと、マスターのサーヤ姫に対する気持ちを確認して、二人でより良い結論を出せたに違いない。
多分、サーヤ姫のはうれし涙だったんだね。
わたしだって悲しくて泣いてたはずなのに、いつの間にか......?


