異世界巫女修行はじめました~理不尽な現世を飛び出して優秀な呪術師と一緒に異世界で人助けをします~


「そうだね。すごいチート。だからいろんなことを知っているんだって、納得できたよ。その力を困っている人に使おうとしているところがさすがだね」

「まあね。今の両親の元に生まれてきたのも、きっと困っている人が多く訪れる場所だから、じゃないかなって思ってる。毎日『病気を治してください』『子どもが欲しいです』『合格できますように』なんていう生きている人間のお願い事と、霊になってさまよっているものたちの念に囲まれてるんだけれど、少しでも気を抜くと取り込まれそうになるんだ」

「わたしがこっちの世界に来た時の怨霊みたいなのが、毎日近くにいるっていうこと?」

「そう。生きている間は何とかできることもいっぱいあるけれど、死んでしまったらもう、どうしようもないだろ? 亡くなった人を思って後悔するのもつらいけれど、自分が死んでもその念が残ってしまった場合、さらに周りは何もできず、ただ苦しめられるだけになってしまう。それを何とかするのがうちの仕事。代々続けているご先祖様にも、オレみたいのが時々いたらしいんだ」

「すごい! 転生することがよくある家系なんだね!」

 私が尊敬の目を向けると、健斗君はちょっと悲しい顔をして、それからきっぱりと言った。

「もう、死んでから後悔するのはいやだからね」

「わたしも。今生まれ変わっちゃったら、きっと後悔する」

 これでやっと、お互いの考えがはっきり伝わったと思う。

 自分の人生は、自分で決める!