「わたしはやっぱり、元のわたしに戻りたい。だって、これまですっごくがんばって生きてきたんだもん。大好きだったお父さんとお母さんから、わたしは愛してもらえなかった。じゃま者扱いされて捨てられちゃった。今まであんまり幸せじゃなかったよ。でも、少しでも幸せに近づけるように努力したつもりなの。それなのに生まれかわっちゃったら、わたしの今までの努力が全部ムダになるじゃない! そんなの、わたしがかわいそうすぎるよ!」
冗談めかして言ったつもりだったのに。
あれれ、また泣けてきた。
なんで健斗君の前だと、わたしはこんなに泣き虫になるのかな?
カラオケBOXでも、声をあげて泣いた。
あの時は、わたしからは何も話さなかったのに『今まで、苦労したよな』なんて、優しいことを言われて驚いた。
わたしにそんな、いたわりの言葉をかけてくれる人なんて、いなかったから。
わたしの涙腺は、健斗君にだけ弱くできてるんだよ、きっと。


