まだ、マスターとサーヤ姫の話し合いは続いているらしい。そうだよね、こんな大事な話、時間がかかるのは当たり前だと思うし。
「あのさ、紗也ちゃん。今のうちに聞くけど、真面目な話、どっちが良かったんだ? 赤ん坊になって、生まれかわるのと、そのまま骨髄移植を終えて、元の世界に戻るのと」
またしても、健斗君はわたしとは違うことを考えていたみたい。
どっちが良かったかなんて、そんなの、今さら言わないでよ。
わたしは、わたしのまま生きるって決めたんだから。
さっきの健斗君の話で決心したの。
わたしのせいで、赤ちゃんの魂をぎせいにできない。
わたしがいなくなったら、きっとおばあちゃんは泣いてくれると思う。
学校の友達も......少なくとも美奈は悲しんでくれるよね。
それに、このままだと健斗君が重要参考人になっちゃう!
ただ、わたしに巻き込まれただけなのに。
さらに、健斗君との約束が果たせなくなる!
無事に帰れたら、ひとつだけお願い事を叶えてあげなくちゃならないんだもん。
わたしは、約束を破るのがいやいなの!
これがわたしの答え。


