サーヤ姫は、意外なほど冷静にそれを聞いていた。
きっとわたしとマスターの方が、ショックを受けた顔をしている。
おだやかなほほえみを浮かべて、わたしと健斗君に言った。
「少しの間、マスターと二人で話をしたいのですが」
「うん。わたし、ちょっと出ているから、お話ししていてね」
あわててサーヤ姫のお部屋から出て、ホールにある大理石のベンチで健斗君とおしゃべり。
「ねぇ、あの二人......」
「間違いない、な」
「うん......王子様二人とも、ふられちゃうね」
「いくらイケメンの王子でも、ダメな時があるんだな」
「そりゃあそうだよ。イケメンだから強引に求婚しても許されるなんてありえない。自分を大事にしてくれる人が誰なのか、サーヤ姫はわかっていたんだと思うよ」
「なるほどね。王子様より師匠を選ぶっていうのは、やっぱり人格、なんだろうな」
健斗君も納得してくれた。


