異世界巫女修行はじめました~理不尽な現世を飛び出して優秀な呪術師と一緒に異世界で人助けをします~

 見つめ合う二人の背後に、バラが見えるのは気のせい、だろうか。

 真っ白い病室のようなお部屋だったはずなのに、今、なぜか背景があたたかいピンク色に見えて、私はついしっかりと目をそちらに向けてしまった。

「マスター、こんな私でも、受け入れてくださるのですか?」

「他に何もいらないと言っただろう。サーヤさえ健やかでいてくれたら、それで十分だ」


 ついつい凝視してしまう私の右手から、ひそひそ声が聞こえた。

「沙也ちゃん、ここはガン見してはまずいシーンだと思うぞ」

 はっと我にかえったわたしは、慌てて二人に背中を向ける。

「ででですよね~。いや~、まいっちゃうなぁ」

 挙動不審な私の背後で、まだ二人は異世界の中のさらに異世界にいらっしゃるようだ。

 わたしと健斗君の姿は、全く視界に入っていないようだった。

 

「なあ、オレ達、どうする?」

 また小さな声で健斗君がわたしに話しかける。

「何か二人の世界になっちゃってるよねぇ。おじゃま虫としては退散したいけど、早く移植しないとまずいんじゃない?」

「だよな。仕方がないなぁ。ええと......愛の語らいは、治ってからじっくりとお願いします。今は一刻も早く移植しないとなりません!」

 二人はぱっと手を放して、赤くなっていた。