マスクにかくれてはいるだろうけれど、笑顔のわたしとは対照的に。
「アンドリュー王子と、シン王子が......」
一瞬にして、サーヤ姫の表情が暗くなったのを、わたしは見逃さなかった。
「大丈夫。もう王子様二人はちゃんと執務に戻っているの。それに、あの二人は勝手にわたしたちの世界へ来たんだから、サーヤ姫が気にすることなんてないよ」
わたしはわざと軽く言ったけど、サーヤ姫は別のことを考えているみたいだった。
わたしの目をじっと見つめるサーヤ姫。きっと考えているんだ。
たった半年前までは、自分もこんなに元気だったのにって。
この姿、きっと王子様達は知らないよね。
病気になってから、一度も外出していないし、病室には誰も通してないって話だから。
『万が一違う病を持ち込まれたら、命取りになる』
わたしに身を清めるように言った時、マスターがそう説明していた。
だから最低限の人しか屋敷には入れないし、病室へ入る時はこの恰好だって。
西洋医学の知識はなくても、マスターは経験上、いろいろわかっているのかも知れない。


