異世界巫女修行はじめました~理不尽な現世を飛び出して優秀な呪術師と一緒に異世界で人助けをします~


 だからわたしは、精一杯明るく答えた。

「抗がん剤治療や、放射線治療をやめたら、患者さんはちゃんと元の姿に戻ります。サーヤ姫だって、元気な時の姿に戻るはずです。髪の毛も、お肌も、必ず再生しますから、それまで支えてあげてください!」

 手首がまたもぞもぞした。健斗君も、うなずこうとしているみたいだった。

 わたしが出した大きな声で、驚いたのかも知れない。

 サーヤ姫が目を覚ました。マスターが枕元へ駆け寄って、サーヤ姫の手を握る。

「サーヤ、気分はどうだ?」

「いつもより、楽な気がします」

 わたしとそっくり、だけど、か細い声。

「ならば会わせたい人がいる。異世界から召喚した、サーヤと同じ体を持つ少女、沙也だ」

「あのー、オレもいるんですけど」

 確かに、健斗君もいるけどね。いきなり見せても大丈夫かな?

「はじめまして。わたしは相馬沙也。あなたの病気を治すために、アンドリュー王子とシン王子がここへわたしを連れてきてくれたの。こっちは真崎健斗君って言って、今はこんな姿だけれど意外と頼りになるから。どうぞよろしくねっ!」

 右手の健斗君も見せつつ、明るくごあいさつ。病気を退治するには、何よりも笑顔が大事だって、おばあちゃんが言ってたから。