異世界巫女修行はじめました~理不尽な現世を飛び出して優秀な呪術師と一緒に異世界で人助けをします~


「もしかしたら、だけど。こんな症状はありませんでしたか? 歯ぐきや鼻から出血したことは?」

 健斗君が、何か思いついたようにマスターへ質問した。

「......そう言えば、あった。サーヤは時々『血の味がするから、うがいをしなきゃ』と言っていた。それに、しばしば鼻血を出すようにもなったな」


 それを聞いた健斗君は、興奮を抑えるように小さな声で話した。

「詳しいことはわかんないけど、その状態で疑われるのは『白血病』ではないだろうか。それで、経験上効くと思われて処方されていたのは、実はオレ達の世界では『抗がん剤』と呼ばれる薬。以前の巫女姫には幸いそれが効いたが、サーヤ姫には効かなかった」

 私も『白血病』と『抗がん剤』という言葉を聞いて、ようやく納得した。

 サーヤ姫の今の姿は、テレビで見た抗がん剤治療をした患者さんそのものだったから。

 健斗君はさらに話を続けた。

「おそらく、巫女姫達三人に、何か共通することがあるはずだ。被ばくするような何かが、身の回りにあるって考えると、全てがつながるんだ!」