異世界巫女修行はじめました~理不尽な現世を飛び出して優秀な呪術師と一緒に異世界で人助けをします~




 確かに、とてもすてきな話。

 誰からも愛されないわたしなんていなくなっても困らない。

 余計なお金がかからない分、おじいちゃんとおばあちゃんだって助かるかも知れない。

 わたしも、幸せな家庭で両親から愛されて育ってみたい。

 サーヤ姫にこの体をプレゼントしたら、二人とも幸せになれる......。

 わたしはマスターの申し出をありがたく受け入れようと思った。

 ところが。

「ちょっと待った」

 健斗君が、異議あり、のようだ。

「疑問その一。それじゃあ、沙也ちゃんは元の世界に戻らず、このまま神かくしにあったことになるのですか?」

「そうなるな」

「それはオレが困るんだよな。ドーナツ屋でも、街中でも、駅でも、オレと沙也ちゃんが一緒のところを、防犯カメラで撮影されている。オレが重要参考人になるのは明らかだ!」

「......?」