確かに、とてもすてきな話。
誰からも愛されないわたしなんていなくなっても困らない。
余計なお金がかからない分、おじいちゃんとおばあちゃんだって助かるかも知れない。
わたしも、幸せな家庭で両親から愛されて育ってみたい。
サーヤ姫にこの体をプレゼントしたら、二人とも幸せになれる......。
わたしはマスターの申し出をありがたく受け入れようと思った。
ところが。
「ちょっと待った」
健斗君が、異議あり、のようだ。
「疑問その一。それじゃあ、沙也ちゃんは元の世界に戻らず、このまま神かくしにあったことになるのですか?」
「そうなるな」
「それはオレが困るんだよな。ドーナツ屋でも、街中でも、駅でも、オレと沙也ちゃんが一緒のところを、防犯カメラで撮影されている。オレが重要参考人になるのは明らかだ!」
「......?」


