異世界巫女修行はじめました~理不尽な現世を飛び出して優秀な呪術師と一緒に異世界で人助けをします~



「解ってもらえただろうか? サーヤがどれだけ辛い治療に耐え、頑張ったのか」

 わたしは涙をぬぐいながら、うなずいた。

「サーヤの体は、もう限界なのだ。サーヤをよみがえらせるには、サーヤと同じ体が必要だ。沙也、私の話を聞いて欲しい」


 もしかしたら。

 わたしの予想する話だったら、どうすればいいだろう。

 でも、まずは聞くしかない。


「サーヤが体の不調を訴えたのは、今から半年ほど前のことだった。私はそれからずっと、サーヤの治療をしてきた。......今までの巫女姫と同じように、絶対に治すと」

 今までの巫女姫?

 もしかしたら、歴代の巫女姫もみんな病気になったの?

 ちらっと健斗君を見たら、彼も変な顔をしていた。

 わたし達の疑問をよそに、マスターの話は続く。

「祈祷も毎日している。今までの経験を元に調合した薬も、限界まで使った。だが、サーヤは......」

「このままでは、死んでしまうでしょうね」

 声を詰まらせるマスターに代わって、健斗君がはっきりと言った。

「で、沙也ちゃんを使ってどうしようっていうんですか?」

 健斗君の口調からは、怒りが感じられる。

 変なこと言い出したら、ただじゃすまないぞ、みたいな。

 マスターは、わたしの手首に向かって話し始める。