本当のお父さんも、新しいお母さんと、その子ども達と遠くの街で暮らしていると、おじいちゃんから聞いた。
お父さん、お母さんの新生活に、わたしが入り込むことはできなかった。
年金暮らしのおじいちゃんとおばあちゃんに頼るだけのさみしい身の上だったけど、みんなから同情されるのはイヤ。
だって、同情されてもいいことなんてひとつもない。この世は力がある者にとって都合のいいようにできている。弱みを見せて可愛がってもらえるのなんて、小さい子どもかペットだけ。
おじいちゃんとおばあちゃんからは見捨てられないように、わたしは必死にがんばった。
勉強も、運動も、家事も。
クラスではリーダー格になれるように、明るくふるまった。
学校でのわたしは、両親から捨てられた哀れな子どもではなく、何でもできる優等生。習い事も部活動もできないけれど、その分アルバイトと勉強する時間はたっぷりあった。
こうして、明るい女子高生になったわたしは、毎日うわべだけ楽しく暮らしていた。


