異世界巫女修行はじめました~理不尽な現世を飛び出して優秀な呪術師と一緒に異世界で人助けをします~



 ......捨て子だったサーヤ姫。

 両親から捨てられたわたし。

 やっぱり似ているのかも知れない。

 ただ、違うのは。

 サーヤ姫はお城でみんなから愛されて育ったこと。

 わたしは、お父さんとお母さんからじゃまにされ、年金暮らしのおじいちゃん・おばあちゃんのところでやっかいになっていること。

 それと『力』の有無。

 『力』のおかげで、サーヤ姫が幸せに暮らしていたんだとすれば、それは素直にうらやましいと思う。

 サーヤ姫は、外見だけじゃなく、きっとその愛され上手な性格と、不思議な力で王子様達をとりこにしたんだ。

 兄妹のように育ったアンドリュー王子とサーヤ姫。

 いつもサーヤ姫の不思議な『力』を目の当たりにしていたんだろうし、美しく成長したサーヤ姫が、自分の手の届かないところへ引き離されるほど想いはつのる。

 アンドリュー王子がサーヤ姫しか目に入らないのはこういう訳だったのかな?


「なるほどね。そりゃあ、恋は盲目になっちゃうな。でも、シン王子からも求婚されてんだろ。サーヤ姫も大変だよな」

 耳元で健斗君がこっそりささやく。わたしはそれに対して、かすかにうなずく。そしてアンドリュー王子は黙ったまま、外の景色をぼんやり眺めていた。

 きっと、サーヤ姫のことを考えているのだと思ったわたしは、そっとしておくことに決めた。