「うちは双子だけで十分だ」
「沙也はまだあなたになついていないから、かわいいって感じないのもわかるけど......」
お父さんが夜、お母さんと話しているのが聞こえた。
それでもわたしは、新しいお父さんとお母さんに気に入られようと必死だった。
双子の妹たちの面倒を見た。
お手伝いを進んでやった。
勉強をがんばった。
だって、わたしはお母さんが好きだから。お母さんを幸せにしてくれた新しいお父さんだって、好きになろうとしていたし、好かれようと努力したから。
だけどわたしは、両親からきらわれる存在にしかなれなかった。だからいつか王子様が来て、わたしを救い出してくれるはずだと信じた。
シンデレラのようになりたいと夢見た。
......現実は、違った。
わたしは結局、中学校入学と同時に、父方のおじいちゃんとおばあちゃんに引き取られた。
今まで全く交流のなかった本当のお父さんの実家で暮らし始めることになってしまったけれど、少しだけほっとした。
たとえおばあちゃん達にとってもやっかい者だったとしても、高校卒業まで我慢してもらおう。その後は自分の力で何とか生きていけるようになってみせると決心した。


